最近、妙にツイッターで話題に出されることが多い(読んでる人が多い)小栗虫太郎の黒死館殺人事件。難解な文章で挫折すると目にしたので少しだけ読んでみたのですが、自分の肌には合わなくて、そっと閉じました。今の時代の文章に当てはめて、かつ、悪い言い方をするなら、俺格好いい系ラノベ。言葉や言い回しに気を取られ、主語や接続語に対する結びは適当。接続語自体も適当。うっかりフランクな言葉も入ってくる。仮定と断定を一つの文章内に持ってくるので、その仮定いらなくね?とツッコミを入れたくなる。
そうであるからして、黒死館は難解な文章故に挫折するのではなく、文章として破綻しかけているとは言い過ぎだが、ある程度の悪文であり――読み手に一定の違和感を感じさせ続け、読み辛かったばかりに挫折する者が多いのではないだろうか。否、黒死館は相当に昔の作品であるし、小栗は悪文家と言われることも少なくないが――当時はそういった、今では違和感を感じる言葉遣いや言い回しが普通だったのだ。この文章に違和感を感じずにいるには、悪文が多いと言われているラノベを読んで慣れれば良いのかもしれないし、黒死館と同じくらいの時代の小説を以前より読んでいる必要があるのだ。このまま黒死館を読み進めるのに私に何より大切なのは、通常より高いレベルの斜め読みスキルを発揮するばかりか、語尾や接続語といった、細かい部分は丸々放り投げるという事で、つまり、ストーリーが理解できなくなるのだった。
……こんな文章が延々と続けば、そりゃ挫折するわ。しかも、内容の8割がストーリーにほとんど関係ない薀蓄とか。……ん……?あれ……?水晶のピラミッド……?